本研究は平成9年4月より平成11年3月に至る2年間にわたって、文部省科学研究費(基盤研究(C)ー2)の補助により行われたものである。近年、船舶や航空機に見られるように構造物の巨大化、複雑化が進んでおり、その信頼性向上が必要不可欠になっている。このようなことから、構造物を常に監視し、各部材に生じる応力を求めたり、損傷を適時に検出しようとするヘルスモニタリングシステムの構築は重要な課題である。本研究は疲労亀裂進展過程の破壊力学モデルを概観し、構造部材の亀裂発生のモニタリングによる亀裂認知のデータ収集法から、確率論的破壊力学による耐疲労信頼性手法による理論的背景並びに疲労亀裂進展過程の確立モデルの中に現われるパラメータの予測手法について検討することを目的として計画された。 研究は歪と亀裂検知に光ファイバセンサを用いた新しい手法の可能性の検討について時間が費やされた。その結果、1)レーザ光によるファイバの歪感知を利用したセンサの開発を行い、従来多く用いられている抵抗線歪ゲージとのデータと比較して、その有効性を確かめた。2)干渉光による歪計測には歪方向(引張り、圧縮)が変化した場合の計測が困難となっているので、光を分岐させた感知用、参照用信号の光の干渉を計測することで、その問題を解決できるかを検討した。3)光ファイバセンサによる亀裂認知試験を疲労亀裂伝播試験で行ない、その有効性について検討した。等の成果について報告するが亀裂伝播式のパラメータの予測については言及していない。亀裂発生位置の特定の問題とともに継続研究で明らかにしていく。 最後に、本研究はほぼ当初の計画の通り遂行され、平成11年3月に終了したことを付記する。
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