研究概要 |
構造位相設計に関して,候補集合の中から構造要素を選択し,それらを結合させていくことで構造を生成する問題(レゴ構造設計)を取り扱った.レゴ構造設計の最適化に確率的ニューラルネットワークのボルツマンマシンを適用するとともに,その形状評価に3次元視覚インタフェイスを導入した. 1. 3次元視覚インタフェイスの環境設定 3次元視覚インタフェイス(ヘッド・マウンテッド・デイスプレイ;HMD)の機能を活用するために,立体視の環境条件について実験を行なった.その結果,対象表面反射特性,対象表面色と背景色,視点間隔と視距離,光源の種類,等の条件を明確にすることができた.すなわち,対象物の表面は拡散反射,対象物は明るく背景は暗く,対象物のいろは暖色系,視点間隔は通常値で視距離は5〜10m,光源は無限遠光源と設定すれば,静止画像でも効果的である. 2. 3次元視覚インタフェイスによる設計評価 構造物の設計では,設計解が表現する形態や形状を人間に認知されなければならない.3次元構造とくにトラス構造では,2次元と比較すると,その形状を視覚的に把握することが格段にむずかしくなる.構造最適化の設計解に対して,精緻なビジュアリゼーションが必要となる.トランス構造について,その3次元コンピュータ・グラフィックス(3DCG)のステレオ画像をHMDに入力し,人間に認知させる実験を行なった.その結果,立体視は形状理解を支援するが,その効果については個人差が大きく,またHMDによって人間が強いられる負荷も大であった.視界および画質にもよるが,HMDを用いる視覚インタフェイスの将来性は疑わしい.運動を活用する3DCGによるアニメーションが,CADシステムでは形状表現の主役を当面続けるものと推測される.
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