研究概要 |
大深度における地下空間の建設あるいは鉄道などの大きな構造物を地中深くに造るためには,機械の搬入などのために大口径の立坑が必要とされている。新たな立坑掘削法として立坑シールド工法が注目されているが,この工法では掘削土砂を噴流により坑底中心部まで搬送することになる。本年度は,噴流による排泥機構について検討し,以下の結果が得られた。 1) 昨年度の実験に引き続き,実験条件を拡大して測定を行った結果,噴流の送水流量およびカッタースポーク傾斜角度が増大すると,噴流の広がりは小さくなることが確認された。さらに掘削ビット間隔の影響についても検討したが,噴流の跳ね返り以外は,大きな影響は見られなかった。 2) 相似則について理論的に検討し,小型立坑シールド掘進機模型を作成するとともに,実験における回転数を求めた。その結果,実機の回転数の約3倍程度で模型実験を行う必要があることが確かめられた。 3) カッタースポークが回転する場合と回転しない場合の結果を比較した結果,実機の3倍の回転数で実験を行ったにもかかわらず,実機の回転数が約0.6rpmと極めて小さいため,カッタースポークが回転する場合の結果は,回転しない場合の結果と大きな差異は認められず,ほとんどの粒子は噴流により中心部へ搬送されることが確かめられた。 4) 昨年度得られた噴流の速度分布式を,エネルギー方程式を基に理論的に修正を加えるとともに,掘削土砂の挙動についても理論的に考察し,土砂の速度を与える式を示し得た。
|