研究概要 |
大深度における地下空間の建設あるいは鉄道などの大きな構造物を地中深くに造るためには,機械の搬入などのために大口径の立坑が必要とされていることから,本研究では新たな立坑掘削法として立坑シールド工法を提案した。この工法では,カッタースポークの外周から中心部に向かって噴流を発生させ,その噴流により掘削土砂を坑底中心部まで搬送することになるため,本研究では,噴流による排泥機構について検討し,以下の結果を得た。 1) 1本のカッタースポークを固定して噴流の広がり状態を観察した結果,送水流量およびカッタースポーク傾斜角の増加に伴い,噴流の広がりは小さくなることが確認された。 2) トレーサー粒子を混入させ,トレーサー粒子の挙動を追跡することにより,噴流の速度分布を計測し,流れ場を把握した結果,粒子の移動軌跡はほぼ直線的であり,主として中心軸上の噴流によって運搬されることが確かめられた。また噴流の中心軸からずれた粒子は,噴流の速度が小さくなるため,その場に停止することが多いことが分かった。 3) 噴流理論および河川流体力学を参考にして,エネルギー方程式より噴流の速度を理論的に考察し,さらに得られた噴流の流れ場を用いて粒子の運動方程式より掘削土砂の挙動を理論的に考察した。 4) 相似則について理論的に考察し,小型シールド掘進機の模型を設計するとともに,模型を作成した。 5) カッタースポークが回転する場合と回転しない場合のデータを収集し,両者を比較した結果,カッタースポークの回転数が小さいため,カッタースポークが回転する場合の結果は,回転が無い場合の結果と大きな差は見られず,またほとんどの粒子は噴流により中心部へ搬送されることおよび地表へ排出されることが確かめられた。
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