研究概要 |
今年度の研究実績は次の通りである。 1.坑井内3軸ダブルゾンデの開発とその性能評価:既存の坑井内3軸弾性波検出器を改造し,坑井内3軸ダブルゾンデを1台製作した。本ゾンデの現位置での性能評価を東北大学東八幡平実験フィールドで行なった。これにより本ゾンデが約200Hzまでの帯域で,弾性波粒子運動軌跡の検出能力を有していることを確認した。これは当初計画した性能を満たすものである。 2.ダブルゾンデにより検出した信号の処理法の検討:ダブルゾンデにより検出した2つの3次元粒子運動軌跡を解析し,コヒーレント波を検出するための信号処理法を検討した。その結果2組の信号を時間-周波数領域で主成分分析することにより,コヒーレント波の到達時刻およびその周波数特性を検出可能であることを見いだした。 3.実験フィールドおよび実地熱フィールドでの弾性波計測実験:東北大学東八幡平実験フィールドおよび葛根田地熱地域でダブルゾンデを使用して弾性波計画実験を実施した。その結果両フィールドで良好な信号を取得できた。 4.実験フィールドおよび実地熱フィールドの地下構造推定:フィールド実験で取得した信号を解析し地下構造を推定した。その結果,他の手法により得られたものと整合する結果を得た。 以上のように,本年度は,当初の研究計画に添って研究を行ない,幾つかの成果を得ることができた。 また,当初計画では,信号処理用ワークステーション装置を備品として購入する計画であったが,これに関しては既存の設備を利用することとし,ダブルゾンデ作製のために経費を利用した。なお,変更金額は交付金属の30%以内である。
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