研究課題/領域番号 |
09651026
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山富 二郎 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (70107548)
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研究分担者 |
安達 毅 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (40262050)
茂木 源人 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (70182160)
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キーワード | 斜面安定 / 割れ目 / 透水性 / 流れの三乗則 / フラクタル性壁面 / FEM解析 |
研究概要 |
平成9年度は以下のことを行った。 (1)割れ目壁面凸凹について注目し、その幾何学的特徴(凸凹)が割れ目の力学特性・透水性に及ぼす影響を中心に文献調査を行った。また、割れ目透水性のモデル化についても文献調査を行った。割れ目を平行な2枚の板に挟まれたものと仮定する流れの三乗則(流量が開口幅の三乗に比例する)に代わる、非三乗則を論述した文献の発掘を行った。 (2)一見、不規則な割れ目壁面の幾何学的特性=凹凸の分布を、地球統計学のバリオグラムやフラクタルによって、表現する試みが行われている。壁面凹凸の突起が、非整数ブラウン運動によって表現されるものと仮定すると、突起分布はフラクタル性をもつようになる。今年度は、その長辺と短辺の長さが2の倍数となる矩形状の壁面について、非整数ブラウン運動に従うフラクタル性を持った突起を発生させるコンピュータプログラムを作成した。これを使って、凸凹を持った割れ目の中を水が流れる場合のシミュレーションモデルを作成し、文献調査でピックアップした実験結果と比較を行った。凸凹を持った壁面が10%以上接触すると、流れの三乗則は成立しなくなり、それ以上接触すると、流れの蛇行を考慮した非三乗則が必要となることがわかった。これは、過去の実験結果をおおむね説明し得るものである。 (3)単一の傾いた割れ目を有する岩盤斜面の安定性を解析するために、二次元の応力解析FEMプログラムと二次元の割れ目内浸透流解析FEMプログラムを作成した。そして、割れ目を平行平板と考え、割れ目内流体の流れ則として、三乗則が成り立つと仮定した場合と、割れ目が凹凸を持つ場合を比較し、割れ目内水圧分布に大きな違いが生じることを明らかにした(研究成果に一部を第10回岩の力学国内シンポジウムにて発表した)。 (4)現在、三次元の応力解析FEMプログラムを開発中であり、二次元解析で得られた知見の確認を行うとともに、新しい非三乗流れ則の提案を行う予定である。
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