本研究は、応力腐食加速試験法として高水蒸気圧の下での岩石試験法を確立するとともに、岩石の強度特性を実験的に明らかにし、それらの結果を基に岩石の長期強度評価式の構築を目的としている。 具体的には、10^3〜10^6Paの範囲の高水蒸気圧のコントロール可能なチェンバーを製作し、安山岩および花崗岩を用いて応力腐食を促進させた1軸圧縮試験および圧裂試験を行い、岩石の1軸圧縮強度および引張強度の劣化の程度を調査する。これらの結果を基に、高水蒸気圧下の岩石の破壊・強度特性を明らかにし、岩石の長期強度評価式を構築する。 今年度の研究成果を以下に示す。 1)高水蒸気圧用チェンバーの改良 チェンバーの温度を調整により、内部の水蒸気圧を10^3〜10^6Paの範囲で制御できるチェンバーを科研費申請後校費で購入したため、このチェンバーを改良した。 2)高水蒸気圧下の1軸圧縮試験 安山岩および花崗岩を供試体とし、試作したチェンバーを用いて水蒸気圧を変化させた一連の1軸圧縮試験を実施し、水蒸気圧が増大するとともに、1軸圧縮強度が減少することを明らかにした。 3)有機溶媒蒸気圧下の1軸圧縮試験 安山岩を供試体とし、試作したチェンバーを用いて水蒸気圧を変化させた一連の1軸圧縮試験を実施し、有機溶媒水蒸気圧が増大するとともに、1軸圧縮強度が減少することを明らかにした。また、減少の程度は、水蒸気圧下のそれに比較して小さいことが明らかとなった。
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