研究概要 |
1.ゴマ栽培種の未熟な趣旨に由来するcDNAライブラリーから、ω-6不飽和化酵素のcDNAを単離散した。(1)アラビドプシスのFAD2遺伝子断片とハイブリダイズするものとして、約ω1.5kbpのcDNAクローン(CSEo6-1)が得られた。解析の結果、CSEo6-1クローンは、383個のアミノ酸からなる小胞体型ω-6不飽和化酵素をコードしうることが示され、ゴマの小胞体型ω-6不飽和化酵素の分子量が約41kDであると推定された。(2)アラビドプシスのFADG遺伝子断片とハイブリダイズしたcDNAクローンとして、約0.4kbの断片(CSPo6-1)を得た。CSPo6-1クローンは、ゴマの色素体型ω-6不飽和化酵素の一部域(112個のアミノ酸配列)をコードしうることが示された。 2.ゴマにおいて、小胞体型と葉緑体型のω-6不飽和化酵素遺伝子のそれぞれの発現量が、時間的および空間的にどのように変化しているかをノーザン・ハイブリダイゼーションによって分析した。単離した2種類のcDNA断片(CSEo6-1,CSPo6-1)をプローブとして、種子登熱の過程でのmRNA量の変動を調べ、一方、異なる組織間でのmRNA量を比較した。その結果、(1)小胞体型遺伝子は、登熱初期の種子と子葉でのみ特異的に多量に発現していること、(2)色素体型遺伝子は、登熱後期の種子と根以外のすべての場合で、ごく低いレベルでしか発現していないこと、が明らかになった。 3.ゴマの野生種(Sesamum schinzianum)に対して、2種類のAgrobacterium rhizogenesの野生菌株を接種した。いずれの組合せの場合も効率良く感染し、接種部位からの毛状根の形成が観察された。得られた毛状根クローンから植物体を再生させるために、種々の条件を検討したところ、野生ゴマ由来の毛状根は、栽培ゴマに感染した場合よりカルス状になりやすく、緑化もしやすいことが判明した。
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