1. ゴマのω-6およびω-3不飽和化酵素のcDNAクローンの単離と解析: 小胞体型ω-6不飽和化酵素と色素体型ω-3不飽和化酵素の完全長のcDNAをゴマからクローン化した。構造解析の結果、前者は383アミノ酸を、後者は、447アミノ酸をそれぞれコードしうることが明らかになった。さらに、ω-3酵素の小胞体型のcDNA断片はまだ単離されていないものの、ω-6酵素の色素体型では、全長の約3分の1をカバーするcDNA断片が得られた。 2. ゴマにおけるω-6およびω-3不飽和化酵素遺伝子の発現パターン: 単離したcDNAクローンをプロープとしてノーザン分析を行なった。その結果、ゴマでは、小胞体型ω-6不飽和化酵素遺伝子が種子特異的に高発現していたが、色素体型のω-6不飽和化酵素遺伝子の方は、ゴマ種子では、ほとんど発現していなかった。また、色素体型ω-3不飽和化酵素遺伝子の場合も種子における発現レベルは極めて低いことが示唆された。 3. ゴマのω-6およびΔ9不飽和化酵素のゲノミックDNAクローンの単離と解析: 小胞体型ω-6不飽和化酵素のゲノミックDNAクローンをゴマから単離し、構造を解析した。その結果、開始コドンの直前に1.6kbのイントロンが挿入されていること、イントロン内部には、E-boxなど種子特異的なシス配列モチーフが多数散在していることが明らかになった。また、Δ9不飽和化酵素遺伝子の5´上流領域もクローン化できた。 4. アグロバクテリウム感染によるゴマの形質転換: 野生ゴマS. schinzianumの無菌芽生えに対して、MATベクターpMAT21を有するA.tumefaciensを感染させたところ、感染が成立した。クラウン・ゴール由来のカルスから植物体が高頻度に再分化したので、今後、再分化した個体が本当に形質転換しているかをPCR分析とサザン分析によって調べる。
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