研究課題/領域番号 |
09660011
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
井上 直人 信州大学, 農学部, 助教授 (80232544)
|
研究分担者 |
俣野 敏子 東京大学, 農学部, 教授 (00021080)
萩原 素之 信州大学, 農学部, 助教授 (90172840)
|
キーワード | 根 / 生長 / 苗立ち / 回旋性 / イネ / ソバ / フラクタル / 粘性 |
研究概要 |
粘性の低い土壌の物理環境に対する作物の根の応答をイネを用いて調べた。 10センチポアズ程度の低粘性の培地に接触しただけで、種子根のラセン生長が起こった。 水田圃場における苗立ち率を支配する要因についての野外調査から、浮き苗率と死亡率が2大原因であることが明らかであるが、浮き苗率は苗のみかけの重さや種子根の伸長量よりむしろ、種子根のラセン生長に鍵があることがわかった。 種子根の運動の横からの画像をスペクトル解析(MEMスペクトル解析)したところ、水田やビーズ培地の中で周期性を持った波打ち現象が大きい品種ほど明らかに苗立ち率が高かった。一方わい化程度が大きい品種は苗立ち率が必ずしも高いとは限らなかった。そこでこの現象に関係があると考えられる要因について検討した。考慮した要因は、弱い物理刺激条件下でのラセン生長である。 その波打ち現象は、根端の回施運動(ラセン生長)によるものであり、その強さや頻度には品種・個体間差異があった。 異なる物理的刺激条件下におけるラセン生長の解析:MSゲランガム培地を用いると寒天よりも波打ち現象(回施運動を真横から見ると波が見える)が見易く、MS培地の濃度は1/2、ゲランガムは0.25g/lが最適であった。そのときの粘度は2cpであった。 ラセン生長に及ぼす温度の影響:温度が高いほど、波打ち現象の出現率が高まり、観察しやすくなり、27℃が最適であった。 ラセン生長の簡易な記述方法の検討:横から見たラセンの曲がる角度は、種子根を真横から見て振幅巾を波長で除した数値(α/β)を用いると簡単に表現できた。 日本の品種と外国産の高苗立ち性品種のラセン生長と圃場での苗立ち性の関係の解析:MSゲランガム培地(1/2MS)に湛水し、播種した後に27℃に保ち、6日後に種子から7-9mm離れた位置α/βの測定値を測定した。その数値は圃場での苗立ち率と高い相関があり、α/βが高いほど浮き苗が少なく、苗立ち率も高かった。
|