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1999 年度 実績報告書

土壌のレオロジー的環境に対する根の応答に関する比較作物学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 09660011
研究機関信州大学

研究代表者

井上 直人  信州大学, 農学部, 助教授 (80232544)

研究分担者 萩原 素之  信州大学, 農学部, 助教授 (90172840)
キーワード根 / イネ / 土壌 / 直播 / 定着 / 物理性 / 粘性 / 回旋運動
研究概要

土壌の物理性に対応した種子根の応答を明らかにするため、浮き苗率が低いCAWWA/FORTUNA6-103-15と浮き苗率が高く苗立ちの不良なコシヒカリを用い、低弾性寒天培地を用いたモデル水田系によって検討した。モデル系を作成する上で最も重要なのは粘性を自由に設定できるような流動性培地の作成である。本研究では低弾性の「ウルトラ寒天AX=30」をベースに、陶器用「木節粘土」を水100mlに対して1gの割合で混合しミキサーで攪拌することで弾性が極めて低く粘度だけを変化させることのできる有機物と鉱物混合ゲル培地を作成した。粘度は1から700cpまで連続的に変化させ、種子根などの生長を調べた。
粘度に対する応答曲線は品種間で全く異なり、高苗立ち性品種は粘度が高まった場合に種子根の単位長さあたりの回旋回数が大幅に増加したが、コシヒカリは変化しなかった。苗立ち性を支配する形質の一つと考えられる種子根のらせん生長は200cp以下の極めて弱い粘性の場合でも発現し、物理的刺激に対して敏感に反応するものと考えられた。また、浮き苗が少なく高苗立ち性を示す品種は粘度が増すにつれて種子根の伸長速度が低下することに特徴があると考えられた。
コシヒカリが伸長量が相対的に大きいことはオーキシン生成量が多い可能性と、感受性が高い可能性の二つが考えられる。種子根長も相対的に長いことから前者の可能性がある。オーキシン生成量が多いとすればエチレン生成量も多くなり、回旋性が発現すると推察されるが、これが認められないということは、エチレンに対する感受性が鈍いことが示唆される。コシヒカリの種子根の伸長量と単位根長あたりの回旋数が培地の粘度を変えても変化しないことはこのことを支持すると考えられた。浮き苗率が小さく高苗立ちをメカニズムとしてはエチレンに対する感受性が普通の品種に比べて高いことが示唆された。

  • 研究成果

    (8件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (8件)

  • [文献書誌] Inoue, N., T. Arase, M. Hagiwara, T. Amano, T. Hayashi and R. Ikeda.: "Ecological significance of root tip rotation for seeding setablishiment of Oryza saativa L."Ecological Research. 14. 31-38 (1999)

  • [文献書誌] Arai, T., N. Inoue, R. Ikeda, H. Hirasawa, A. Ujihara and M. Minami: "Evaluation of screening methods for higher seeding establishment rate of direct seeded rice on the soil surface in flooded paddy fields."Jap. J. Tropical Agric.. 43(1). 5-10 (1999)

  • [文献書誌] 荒井輝博、井上直人、池田良一、平澤秀雄、氏原日軍牡男、南 峰夫: "イネ湛水土壌表面直播における高苗立ち性品種の簡易検定法の開発とスクリーニング"北陸作物学会. 34. 38-41 (1999)

  • [文献書誌] 井上直人: "水稲種子根の回旋運動と苗立ち 根の事典編集委員会 根の事典"朝倉書店. 438. 263-264 (1998)

  • [文献書誌] 荒井輝博、井上直人、池田良一、平澤秀雄、氏原日軍牡男、南 峰夫: "イネ湛水土壌表面直播における高苗立ち性品種の簡易検定法の開発とスクリーニング"北陸作物学会講演要旨集[長野]. 26-27 (1998)

  • [文献書誌] 井上直人、野村愛子、萩原素之: "水田におけるイネ根系の経時的な拡張パターンの測定。"日本作物学会紀事. 67(別1). 60-61 (1998)

  • [文献書誌] 井上直人、野村愛子、菅田裕美、萩原素之: "多収穫水田におけるイネ根系の拡張パターンと活性"日本作物学会紀事. 68(別1). 14-15 (1999)

  • [文献書誌] 中道秀人、井上直人、萩原素之: "ネパール産ダッタンソバにおける根系の形態的変異"日本作物学会紀事. 68(別1). 182-183 (1999)

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公開日: 2001-10-23   更新日: 2016-04-21  

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