北緯20°から北緯60°、東経60°から東経160°の範囲において、緯度1°×経度1°を単位とし、数値地理情報を用いた統計的な手法によりアジア地域の土地分類をおこなった。用いた環境要素データは、マシューズの植生データ、米国地球物理データセンターの作成した標高データ(ETOPO5)、ゾルバーの土壌データ、米国NCARの作成した年平均気温データおよび年降水量データである。分類はコレスポンダンスアナリシスによって3次元空間に各サンプルをプロットしたのち、クラスタ分析を適用することによっておこなった。その結果、アジア地域の土地類型が10のタイプにまとめられ、各タイプの分布域と植生、標高、土壌、年平均気温、および年降水量からなる自然条件とが把握された。また各土地類型の分布を地図化することができた。 さらに中国における土地荒廃を事例にとりあげ、より詳細な研究をすすめた。すなわち森林伐採後に植林による環境修復を試みた事例をとりあげ、土地利用/被覆の変遷を明らかにするとともに、土地荒廃防止策か物質およびエネルギーのフローにもたらした効果を明らかにした。研究対象地は、中華人民共和国四川省綿陽市塩亭県林山郷截流村内の一小流域である。対象地では1950年代に燃料木収集のために森林が伐採されたが、70年代に植林が行われ、現在の対象地の森林被覆率は四川省平均の2倍となっている。植林により林地からの燃料供給が可能になり、小流域内の物資循環は改善されたが、窒素収支による評価では、化学肥料の多投入が示唆された。化学肥料の適切な施肥量の把握と、林分の転換が必要であると考えられる。
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