植物がDIFに反応するか否かを早期に短期間で効率よくスクリーニングするため下胚軸に注目し、幼苗の段階でDIFの効果を確認できるかどうかを2年間にわたって調査した。 ストック、ナデシコ、カーネーション、キンギョソウ、ペチュニア、パンジーなど10種類の一年生草花を供試し、それぞれの種子をろ紙を敷いたシャーレに播種し、子葉が展開する頃に-5DIF、0DIF、+5DIFに設定した温度勾配恒温器に搬入し、約1カ月生育させて、下胚軸の長さを調査した。その結果、下胚軸長に及ぼすDIFの顕著な影響は見られなかった。シャーレでは水分管理が難しく、生長量も小さかった。植物によっては、下胚軸の長さが測りにくい個体もあり、一般的な方法としては不向きと考えられた。2年目は養分(ハイホネックス)を補給したが、良い結果は得られなかった。 ストック‘舞姫'、ヒゲナデシコ‘第一寒咲きしらぬい'、カーネーション‘F1モナークスカーレット'は、DIFに反応することが既に報告されているので、これら3種について集中的に検討した。セルトレイに播種し、-5DIF、0DIF、+5DIFに設定した温度勾配恒温器に搬入し、3〜4日毎に下胚軸長、草丈を調査した。シャーレの時よりも生長量が大きくなり、管理も比較的容易になった。調査の途中の段階ではDIFによる差が認められたが、ばらつきが大きく、DIFに対する反応の有無を下軸胚の長さで判断できるかどうかを判断できなかった。シャーレ実験では子葉が見えてからDIFを与え、セルトレイ実験では発芽の段階からDIFを与えたが、下胚軸長がDIFに反応するかどうかは明らかにならなかった。今後は、この点をさらに検証するとともに、下胚軸長および生育の初期段階のDIFに対する反応と草丈が一致するかどうか、種々の植物について検討する必要がある。
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