研究概要 |
1. エタノール処理によるブロッコリー小花の緑色保持 本研究では収穫後の青果物の品質保持について、エタノール処理によるブロッコリーの緑色保持への応用を試みた。エタノール処理は、新鮮なブロッコリーより切り出されたBranchletをガラス容器に入れ、エタノール溶液をバブリングして得られた蒸気を通気した。エタノールは0%(蒸留水、対照区)、10%、25%、50%、100%とし、通気時間は24時間と連続処理を設け、20℃で貯蔵した。緑色の指標となるHue angleについて、24時間処理では25%〜100%処理は対照区や10%処理区のものに比較して減少が遅く、黄化が遅れた。しかし、エタノールの濃度が高すぎるとくすんだ緑色になった。連続処理もほぼ同様の傾向であったが、異臭が認められ、また小花のクロロプラストにも形態的に異常が観察された。このことから、ブロッコリーの緑色保持には25%エタノールでの24時間処理が最適と判断された。また、エタノールの簡便処理法として“固形アルコール"を用い、ブロッコリーとともに有孔ポリエチレン袋に封入したところ、緑色保持の効果が認められた。 2. ブランチング処理されたブロッコリー小花における貯蔵中の温度と照明の影響 本研究では野菜サラダの具として用いられているブランチングされたブロッコリーの緑色保持に関して、店頭での陳列を想定し、保持温度と照明の有無についてその影響を調査した。新鮮なブロッコリーのBranchletを1分間熱湯でブランチングした後、透明フィルムでラッピングし、5℃と10℃の下、それぞれ明所(2,000 LUX)と暗所に保持した。その結果、小花のクロロフィルは明所で暗所より早く減少し、また10℃で5℃より早く減少した。光学顕微鏡と走査電子顕微鏡による観察から、ブランチングしても小花のクロロプラストは保持されたが、その内部は熱の影響とみられる著しい変化が認められた。また貯蔵中、保持温度が高いとクロロプラストの崩壊がやや早く進むように思われたが、照明による崩壊への影響は明確でなかった。以上より、ブランチングされたブロッコリーの品質保持には低照明下での低温が推奨される。
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