園芸的に重要な野生ギク(アシズリノジギク、ナカガワノギク、サッマノギク、リュウノウギク、キクタニギク、シマカンギク、イソギク、チョウセンノギク、コハマギク、オオシマノジギク)と栽培ギクの秋ギクタイプ‘スプリングソング'および夏秋ギクタイプ‘マミー'を用いて、正逆交雑を検討した。キクタニギクを除く総ての交配で種子が得られた。キクタニギクを花粉親としてスプリングソングに交配した場合に少数の種子が得られたが、子房親として場合には種子は得られなかった。次にここで得られた雑種第1代の実生個体について開花反応を調査した。冬季に播種し以後電照下2回ピンチの上挿し芽苗を7月1日に圃場へ定植すると、全体としてマミーの後代はスプリングソングの後代に比べて早期に開花し、夏秋ギクの持つ長い限界日長という性質は、容易に野生ギクとの後代に伝わった。また、わが国の夏期の高温時に短日処理すると開花遅延するアシズリノジギクと開花遅延の少ないシマカンギク、ナカガワノギクの後代を6月20日及び9月5日から10時間の短日を与えて比較したところ、いずれもマミーの後代の方が開花が早く、アシズリノジギクの後代では9月より短日処理でかなりの個体がロゼット化した。また西南暖地の栽培では開花が不安定なチョウセンノギク、コハマギクとマミーの後代を20℃ファイトトロンで栽培し、日長の最も長い6月に電照を打ち切ると両種の後代ともに多くの個体は発蕾にいたらなかった。
|