前年までに集められた36系統のナカガワノギクの内、大型の草姿を示す3系統の染色体数は72であり、他はすべて36であった。葉の形態観察およびフローサイトメータのデータからもこれら大型系統は倍加した系統と考えられた。 集められた36系統のナカガワノギクの全DNAをCTAB法により抽出、PCRにより葉緑体DNAの2つの既知領域すなわち、abcL-ORF106とtranK領域を増幅した。いずれも期待された大きさの断片が増幅された。このPCR産物を16種類の制限酵素処理したところ、rbcL-ORF106領域ではいずれの制限酵素処理でも多型は見られなかった。一方tranK領域をDra IとScrf Iで処理したとき多型が出現し、全系統をA、B2つのタイプに大別できた。このAタイプは他の研究で、栽培ギクに広く認められる多型であった。改めて那賀川流域の5カ所から150系統の葉を採取し、同様のPCR-RFLP解析を行った。5箇所の内1カ所で30個体中14個体がAタイプを示し、他は総てBタイプであった。以上の結果、ナカガワノギクの自生地集団の中に葉緑体DNAのPCR-RFLP解析による多型が存在する事が明らかとなった。
|