本研究の年最終年において、次の成果を得ることができた。 1.単為生殖の誘導効率を高めるために、ラン科のZygopetalum mackayi、ヒガンバナ科のCyrtanthusおよびNerine、ユリ科のAlliumを用いてNAAの柱頭処理法について、さらなる検討をおこなったが、先に見出している1%NAA水溶液による処理効果を上回る結果は得られなかった。 2.これまで遠縁交雑によって新個体が得られたラン科植物20個体、ヒガンバナ科植物31個体、ユリ科植物26個体について、発育の様相、葉および茎の形状、花の形状と花色などの形態的特徴について検討したところ、約1/3個体が雑種ではなく、母株と同一の形質をもった単為生殖個体であることが観察された。 3.また、無受粉株にNAA処理を行うことによって得られた種子から育った新個体についても形態的特徴を調べたところ、個体による差異がなく均一であり、母親と同様の形質を維持していることが明らかになった。 4.遠縁交雑によって得られた一部の個体について、染色体調査を行ったところ、形態的に母系の血を受け継いでいるとみなされた個体では染色体においても類似していることが観察された。
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