1.熱帯果樹や温帯果樹を用いて、イムノブロット法によってRuBisCOタンパク質ならびに高温に応答するタンパク質の検出法を検討した。まず、窒素施肥量を加減することで樹勢の相違を変動させて検討した。その結果、上記タンパク質は、ともに窒素施肥量の増加とともに増大した。 次に、マンゴ-葉の葉齢に伴う変化を検討した。RuBisCOタンパク質は若い未熟葉では、ほとんど検出できず、緑色になると急激に増加した。高温に応答するタンパク質のうちシャペロニン60は展葉間もない未熟葉で濃く現れ、チョコレート色が出現した葉齢では電気泳動上のバンドは薄くなり、チョコレート色が消失するころから再び濃くなった。HSP70も、未熟葉でわずかに検出できたが、つぎの葉齢では、検出出来ず、緑色葉では再び濃くなった。 2.葉の生理機能の解析法の一環として、葉のクロロフィル蛍光値(Fv-Fm)を測定した。葉のクロロフィル蛍光値(Fv/Fm)は、無窒素処理葉で明らかに低く、光合成回路のPSIIの量子収量が低下していることが明らかであった。 マンゴ-の葉では、葉のクロロフィル含量とFv/Fm値および光合成による酸素発生量との間には、高い相関関係が認められた。今後、葉齢に伴う高温耐性の機構を検討する予定である。 3.ブドウとカンキツ樹を用いて、乾燥や塩類濃度の相違が根、とくに新根の細胞構造に及ぼす影響をDAPI染色法から調査した結果、細胞核の変動が顕著に現れた。 4.各種果樹葉の高温応答について、細胞オルガネラの微細構造とシャペロニンなどの分子シャペロンの細胞内局在性とその濃度を検討中である。
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