研究概要 |
アミノ酸合成阻害除草剤は,生長点に作用するため地下の根茎やクリーピングルートからの再生を阻止する特性をもち,防除困難な多年生雑草に有効であることが知られている。本研究はその機構を芽の組織化学的側面から究明するために行っており,本年度はとくに腋芽(定芽)をもつ根茎と不定芽をもつクリーピングルートの反応の違いについて,同じヒルガオ科のコヒルガオおよびセイヨウヒルガオを材料として比較した。 1)根茎をもつコヒルガオおよびクリーピングルートをもつセイヨウヒルガオ植物体に対するグリホサート茎葉処理の効果を,ホルモン系除草剤2,4-Dを対照として,地下部からの再生抑制に及ぼす影響として調査したところ,セイヨウヒルガオへのグリホサートの効果のみ著しく劣っていた。 2)両種の地下部を5cmの断片として浸漬処理し,両除草剤の芽への直接的な影響を調べたところ,グリホサートの効果には,両種間で植物体への茎葉処理でみられたような差が認められなかった。 3)両種植物体の成葉に処理した14C-標識除草剤の移行性について調査した結果によれば,コヒルガオおよびセイヨウヒルガオの地下部組織のグリホサート濃度にはあまり差がないものと推定され,両種間の効果の差は移行性では説明できないことが分かった。一方,両種間で効果に差がなかった2,4-Dの地下部組織中の濃度は,コヒルガオの方で著しく高いことが推察された。 4)グリホサートに対してみられた両種の反応の差の原因が,真の選択性すなわち細胞レベルでの感受性や解毒の相違にあるのか,定芽と不定芽という芽の形態形成上の違いのあるのかを見極めるには,さらに研究が必要である。
|