突然変異イネ開口朝日の切り取り葉鞘に親和性イネいもち病菌を接種し、24時間後に接種菌を取り除き、親和性イネいもち病菌あるいは非病原菌(Alternaria alternataやメヒシバいもち病菌)を後接種した。その結果、非病原菌は葉鞘細胞内へ容易に侵入し、葉鞘細胞に受容性が誘導されていたが、非親和性菌の侵入は助長されず、拒否性が誘導されていた。この結果は、いもち病菌には基本的親和性成立に結びつく受容性の誘導能があるが、非親和性いもち病菌にはその誘導を阻害し、拒否性を誘導する因子を生成していることを示した。しかも、親和性菌や非病原菌では、拒否性が誘導されないことよりこの因子は非親和性レース特異的である可能性を示唆した。 エリシターを含むいもち病菌の発芽液を関口朝日葉に滴下し、光照射下におくと関口病斑類以外の壊死斑が形成された。壊死斑内にはいもち病菌の感染を阻害するニンヒドリン陽性のストレス化合物が蓄積した。さらに、壊死斑の形成に伴って活性酸素種の1つであるスーパーオキサイドの著しい生成が認められ、突然変異イネ関口朝日の示す抵抗反応である関口病斑形成ならびにストレス化合物蓄積に活性酸素が重要な役割をしていることが示唆された。
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