研究概要 |
1.エリシターにより発現が誘導される遺伝子の単離と構造解析 differential hybridization法によって単離されたエリシター応答性遺伝子のcDNAの中で、特にDofドメインというCys4タイプの新規DNA結合性Zn fingerタンパク質のcDNA E84に焦点を絞りE84の発現、遺伝子構造、E84タンパク質のDNA結合能、転写活性可能について解析を進めた。その結果、E84 mRNAは傷処理並びにエリシター処理で発現が誘導されること、E84遺伝子はエンドウゲノム上に1コピーしか存在していないこと、短い1個のイントロンを有すること、E84タンパク質はAAAGをコアとするDNA配列に結合することが明らかにされた。更に、この結合配列は既単離のエリシター応答性遺伝子であるPSPAL1,2やPSCHA1,2,3,4,5のプロモーターにも存在し、PSCHS1のAAAG配列にin vitroで結合することが確認された。E84タンパク質の転写活性可能については現在解析中であるが、その研究の過程でAAAG配列が新規エリシター応答性配列である可能性が示唆された。 2.サプレッサーにより発現が誘導される遺伝子の単離と構造解析 differential hybridization法により単離されたサプレッサー応答性cDNAクローンS64の全塩基配列を決定したところ、本遺伝子はジャスモン酸合成経路のOPDA還元酵素を始め、フラボプロテインファミリーと高い相同性を示すことが明らかにされた。また、本cDNAをプローブとしてノーザンプロットハイブリダイゼーションを行った結果、本遺伝子はサプレッサーによって誘導されるだけで無く、親和性病原菌の接種、乾燥処理、葉っぱの切り取りによっても誘導されることが明らかになった。
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