イネ白葉枯病菌(Xanthomonas oryzae pv.oryzae:Xoo)、カンキツかいよう病菌(X.campestris pv.citri:Xct)などが有する病原性遺伝子のうちhrpXと各種hrp遺伝子の発現制御機構について検討した. XooのhrpXoの一部(634bp)をプローブとし、Southern解析を行った結果、hrpXホモログは、X.campestrisの16の病原型およびXooの12菌株に保存されていた.これらのうち、XctのhrpXホモログhrpXctのORFのシークエンス(1431bp)を解読した.コード蛋白質HrpXct(476アミノ酸:52kDa)の予想アミノ酸配列をHrpXoのそれと比較した結果、HrpXctはHrpXoと95%の相同性を有し、C-末端側には、AraC family蛋白質のDNA結合domain:helix-turn-helix motif配列が保存されていた.以上から、HrpXはHrp発現のpositive regulatorであると考えられた. HrpXのDNA結合活性についてhrpXoを用いて検討した.hrpXoをpMAL-c2に挿入し、融合蛋白質MBP-HrpXoとして大腸菌で発現させた.一方、XooよりPCRによってhrpD相同領域(hrpD1の全長およびhrpD2の一部:1073bp)を増幅させた.次に、hrpD1およびhrpD2相同領域の各上流域、各2カ所をPCRで増幅し、各増幅断片とMBP-HrpXoとの分子間相互作用をBIA-COREを用いて解析した.その結果、hrpD1相同領域-270〜-90bpの断片のみがMBP-HrpXoと相互作用した.従って、HrpXoはhrpDプロモーターに結合し、hrpD遺伝子の転写をポリシストロニックに制御していると推測された.
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