1 サルスベリとミズキ類植物うどんこ病菌の種特異的プライマーの作成 サルスベリとうどんこ病菌と同属のUncinuliella属あるいはそれらと近縁と考えられる12種類の植物に発生するうどんこ病菌のrDNAの塩基配列を解析するとともに、他のうどんこ病菌の遺伝子解析の結果とも考えあわせて、サルスベリうどんこ病菌の種特異的プライマーを作成した。なお、ミズキ類植物うどんこ病菌については分類学上の問題があり、種特異的プライマーを作成する前に、それら菌の遺伝子解析から分類学的提案を行った。 2 作成したプライマーを用いた植物芽中のうどんこ病菌の検出方法の開発 作成したサルスベリうどんこ病菌の種特異的プライマー4種類について、(1)近縁のUncinulaとUncinuliella属うどんこ病菌、(2)サルスベリ葉上から分離される糸状菌類12種類を対象として、特異性の検討をおこない、4種類とも種特異的であることを明らかにした。しかし、サルスベリの芽からのDNAの抽出とPCRの適切な条件が見つからず、それらプライマーの特異性の検討を終えておらず、まだ種特異的プライマーを用いたサルスベリ芽中からのうどんこ病菌の検出に至っていない。 3 自然発生下でのサルスベリうどんこ病菌の発病経過 サルスベリうどんこ病の発病経過を調査し、葉の展開が旺盛に始まる5月上旬には、展開した葉での発病が認められないが、伸長する新芽のみがうどんこ病に感染している場合があること、周辺の展開葉への発病の拡大がなかなか進展しないことなどを明らかにし、越冬後に伸長する新芽の中での感染新芽の割合は極めて低いものの新芽の中で越冬の可能性を示した。
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