1 作成したサルスベリうどんこ病菌(サルスベリ菌)の種特異的プライマーの特異性および検出限界の検討:特異性を高めるためにPCRのアニリング温度について検討した結果、1)アニリング温度を58℃から73℃の間であげても特異性は改善されなかった。しかし、2)2回かけていたPCRを1回にすると、増幅しなくなる菌類があり、PCRの増幅回数の減少により特異性が高まった。また、制限酵素Xho Iを用いたPCR-RFLPを検討し、サルスベリ菌の検出に本制限酵素は有効なことを明らかにし、種特異的プライマーとXho I処理の組み合わせは、サルスベリ菌の特異的検出に有効であることを示した。さらに、サルスベリ菌の検出限界について検討した結果、プライマーの組み合わせによっても異なるが、サルスベリ菌のDNA濃度が、275μg/m1有れば検出できることを明らかにした。 2 自然条件下でのうどんこ病菌の芽内への感染と発病経過:サルスベリからのDNA抽出は、キアゲンカラムを用いる方法が有効なことを先に明らかにした。本法を自然条件下で発病したサルスベリうどんこ病発葉に適用し、その後、1)そのまま種特異的プライマーを用いてPCR増幅したが、サルスベリ菌のDNAは増幅されなかった。そこで、2)先にキレックス法でサルスベリ菌DNAの抽出を試みた後に、キアゲンカラムを用いる方法を検討したが、PCRが阻害され、サルスベリ菌のDNAは増幅しなかった。以上の結果、サルスベリ菌検出のためには、発病葉を用いたPCR増幅条件をさらに検討する必要が明らかとなった。
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