研究課題/領域番号 |
09660057
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研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
角田 素行 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 助教授 (50127164)
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研究分担者 |
森 肇 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 助教授 (80201812)
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キーワード | タンパク質 / 消化吸収 / 人工飼料 / 膜結合型酵素 / 可溶化 / アミノペプチダーゼ / ペプチド / カイコ |
研究概要 |
カイコにおける人工飼料中のタンパク質成分の消化吸収の最終段階で、中腸組織の膜結合型アミノペプチダーゼが機能していることを明らかにする目的で、1)中腸組織における本酵素の部位別局在性、2)本酵素の精製方法を検討し、3)オカラタンパク質含量を異にする人工飼料を与えたカイコの本酵素の活性をカイコの発育経過を追って測定した。 その結果、1) 酵素の部位別局在性については、カイコの中腸組織は形態学的に前、中、後部の3つに区分できる。活性は前部と中部が同等であるのに対して後部は約3倍の活性を示した。このことは、中腸組織の内腔で消化液中のプロテアーゼの働きで人工飼料中のタンパク質が消化されて産生されたペプチドを中腸後部で分解する能力が高いことを示すものであり、中腸後部がタンパク質の消化産物の吸収に寄与していることを示唆する。 2) 本酵素の精製方法を確立した。中腸組織の膜からの可溶化はフォスファチジルイノシトール特異的フォスフオリパーゼCを用いる酵素的可溶化法を用いた。可溶化酵素を酸沈殿処理した後、イオン交換、金属キレート、ゲルろ過のカラムにかけて電気泳動的に単一のタンパク質を得た。 3) オカラタンパク質含量を6.4%と13.2%になるように調製した人工飼料で飼育したカイコの5齢幼虫の中腸組織の酵素活性はほぼ同様の水準と活性消長を示した。発育の進行につれて活性は上昇し、5齢8日に極大に達した後、減少に転じ、5齢12日に吐糸開始となった。オカラタンパク質を全く含まない飼料で飼育したカイコの酵素活性は、はるかに低い水準で推移し、5齢12日でも吐糸開始とならず、更にすべての幼虫は幼虫熊で死亡した。以上の結果は、本研究で用いた人工飼料のうち、オカラタンパク質はカイコの飼育にとって必須タンパク質素材であること、また中腸組織の膜結合型アミノペプチダーゼは飼料タンパク質によって誘導されることを示す。
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