研究概要 |
(1)土壌及び菌根菌資材の種類が菌根菌着生に及ぼす影響 供試土壌として水田土壌と山土,供試資材として現在市販されている3種類の菌根菌資材を用い,それぞれの組み合わせについて台木用赤ナスまたはカボチャのポット栽培試験を行った.栽培終了後,植物による各種養分吸収量,菌根菌着生率を測定したところ,水田土壌,資材K,台木用カボチャの組み合わせで,最も高い菌根菌着生率が観察され,養分吸収量の向上が認められた. なお,供試した資材の中には比較的高い濃度の有効態リン酸を含むものもあり,資材の効果が菌根菌によるものかどうか評価する際に注意を要すると思われた. (2)菌根菌資材の施用が植物根圏での養分動態に及ぼす影響 (1)の結果をもとに,菌根菌着生率の高かった水田土壌,資材Kを供試し,Rhizobox装置を用いた栽培試験を行った.中央のコンパートメントの土壌に資材を施用する区と無施用区を設け,台木用カボチャを栽培し,栽培終了後の各コンパートメントの土壌のpH,EC,水溶性カチオン,アニオン含量の変化を分析した.その結果,資材施用区では,根面から離れたコンパートメントでの水溶性リン酸含量が増加するなどの傾向が認められた.重金属元素の動態ついては解析中である. 一方,今回の補助金で購入した高速液体クロマトグラフを用いて土壌溶液中の低分子有機酸含量の分析方法を確立した.今後,この方法をRhizoboxから採取した土壌に適用し,菌根菌資材の存在する根圏での養分動態に低分子有機酸がどのような影響を及ぼしているか検討する予定である.
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