研究実績の概要: 平成9年度 DNAデータベースにマウスのオキシトシン受容体遺伝子の塩基配列が発表されたので、この配列を用いてプライマーを作成し、PCRによって129SvEv系統のマウス由来ゲノミックライブラリよりオキシトシン受容体遺伝子のゲノミックDNAのスクリーニングを行った。得られた遺伝子配列を用いてhprt遺伝子をマーカーとしたPGKhprt/MCA1tkベクターに挿入し、ターゲティンベクターコンストラクトを作成した。この作業を行っている間に、米国NIHの研究所でオキシトシン受容体遺伝子のノックアウトマウスを作成したと言う情報が知人より伝えられた。しかし此の情報によると、オキシトシン受容体遺伝子-/-のマウスでは発生途中で死亡する(early embryonic death)とのことであり、この実験計画を練り直す必要が生じた。今後conditional knockout(条件遺伝子欠損)を行なう計画に切り替えることとした。すなわち、欠損させる遺伝子領域をloxP配列で挟み込んだターゲティングベクターを作成し、これをES細胞に導入するためにデザインしたターゲティングベクターを作成中である。此のベクターを導入したES細胞よりマウスへテロザイゴ-ト個体が得られたら、Tc制御プロモータを用いた誘導可能なcre発現ベクターを導入したトランスジェニックマウスとのハイブリッドを作成して、発生の各段階でのオキシトシン受容体遺伝子の不活化を行なう予定である。
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