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1998 年度 実績報告書

酸素センサーの解明とその細胞工学への応用

研究課題

研究課題/領域番号 09660085
研究機関京都大学

研究代表者

永尾 雅哉  京都大学, 農学研究科, 助教授 (10237498)

研究分担者 増田 誠司  京都大学, 農学研究科, 助手 (20260614)
キーワード酸素センサー / 低酸素 / エリスロポエチン / 転写調節 / 細胞工学
研究概要

ガン組織ではガン細胞が旺盛に増殖するために低酸素状態になっている。そこで、この性質を利用した遺伝子治療系に着手した。まず、低酸素誘導性を持つエリスロポエチンのプロモーター・エンハンサー(EpoPE)にジフテリア毒素を接続した。その際、野生型と、変異を入れた弱毒型毒素発現ベクターの2種類を作成した。本実験では(1)通常酸素圧下では毒性が発揮されないこと(2)低酸素条件下で毒性が発揮されることの2点が重要である。上記の毒素発現ベクターをCMVプロモーターにルシフェラーゼ遺伝子を接続したレポータープラスミドと同時に肝ガン細胞Hep3Bにトランスフエクションした。毒素発現による細胞死によってレポーター遺伝子の発現が低下することを指標にして、この毒素発現系を評価した。その結果、弱毒化毒素を用いるとEpoPEにより、いずれの酸素条件下でも毒性が発揮されず、逆に野生型毒素では毒性が発揮された。このことから、EpoPE-弱毒化ジフテリア毒素発現系は上記(1)の条件は満たすが、(2)の条件は満たさないことが分かった。
低酸素応答性を有する乳酸脱水素酵素A(LDHA)のプロモーターにエリスロポエチンcDNAを接続した発現ベクターを構築し、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞に導入して、安定形質導入細胞株を得た。その結果、明らかな低酸素誘導性(約10倍以上)のエリスロポエチン産生が見られた。なお、前もってLDHAプロモーターの低酸素応答領域に変異を入れておくと低酸素誘導性のエリスロポエチン発現は見られなかったことから、確かにこの低酸素応答領域が機能していることが分かった。さらに、低酸素刺激をミミックするコバルトによっても同様な結果が得られたことからも低酸素応答領域が機能していることが示された。なお、今回作成したLDHAプロモーターは通常酸素圧下でも強力なプロモーターとして機能し、さらに低酸素で誘導がかけられることから、動物培養細胞を用いた物質生産にとって有用な発現プロモーターであることが示唆された。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] Sakanaka,M.: "In vivo evidence that erythropoietin protects neurons from ischemic damage" Proc.Natl.Acad.Sci.USA. 95・8. 4635-4640 (1998)

  • [文献書誌] Yasuda,Y.: "Estrogen-dependent production of erythropoietin in uterus and its implication in uterine angiogenesis" J.Biol.Chem.273・39. 25381-25387 (1998)

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公開日: 1999-12-11   更新日: 2016-04-21  

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