研究概要 |
原核生物由来の最初のカルボキシルプロテアーゼ(CP)であり,且つ,ペプスタチン非感受性CPであるPseudomonas sp.(PCP)とXanthomonas sp.(XCP)の酵素を始め,Bacillus coagulans J-4酵素,高温細菌由来CP,クマモリシンの合計4種類の酵素を対象に,これらCPの構造と機能を総合的に考察する。更に,CPの進化を考察すると共に,CPの全体像を探る。 1. 触媒残基の同定(部位特異的改変体) PCPとXCPの両酵素に保存されている8ヶのAsp又はGlu残基を触媒残基の候補として,これらのAla改変体(合計16種)について検討した結果,PCPの触媒残基はAsp 170とAsp 328,XCPのそれはAsp 169とAsp 348と同定した。 2. 触媒残基の同定(スチレンオキシド) スチレンオキシドの^<14>C標識化合物を用いて検討し,PCPのGlu 80,XCPのGlu 75とAsp 110は基質結合部位として重要であることを明らかにした。 3. 触媒残基の同定(カルポジイミド) 特異的阻害剤チロスタチンと^<14>C-N,N〓-ジシクロへキシルカルポジイミドの併用によるDifferential Labelingを行い,PCPのAsp 140とGlu 222,XCPのGlu 235は触媒残基としてではなく,基質結合部位として重要であることを明らかにした。 4. Bacillus sp.J-4 CP遺伝子のクローニング ペプスタチン非感受性で,且つ,アルコール耐性の本酵素について遺伝子のクローニングを行い,ほぼ全領域の遺伝子の取得に成功した。 5. クマモリシンの高発現系の確立 耐熱性酵素クマモリシンの大腸菌での高発現系の構築に成功した。
|