研究課題/領域番号 |
09660091
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
喜多 恵子 鳥取大学, 工学部, 助教授 (70234226)
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研究分担者 |
片岡 道彦 京都大学, 大学院・農学研究科, 助手 (90252494)
清水 昌 京都大学, 大学院・農学研究科, 教授 (70093250)
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キーワード | 光学活性アルコール / 酵母 / NADPH / グルコース脱水素酵素 / アルデヒド還元酵素 / 部位特異的変異 |
研究概要 |
赤色酵母Sporobolomyces salmonicolor(AKU4429)は、(R)体および(S)体のethyl-4-chloro-3-hydroxy-butanoateをそれぞれ高い光学純度で生成するアルデヒド還元酵素(ALR(R),ALR(S))を生産し、既に我々はそれぞれの酵素遺伝子をクローニングしている。これらのアルデヒド還元酵素を保持する組換え体大腸菌を、光学活性アルコール合成の触媒素子として用いるために、NADPH再生系酵素遺伝子とALR遺伝子を同一菌体内で高発現する組換え体大腸菌の育種を行った。NADPH再生系には、Bacillus megaterium IWG3株由来のグルコース脱水素酵素(GDH)遺伝子を用いた。ALR(R)遺伝子とGDH遺伝子の共発現系では、ALR(R)とGDHを異なるベクターに組換えたプラスミドを保持する大腸菌がもっとも高い活性を示した。一方、ALR(S)遺伝子とGDH遺伝子の共発現系では、両遺伝子を同一ベクターに連結した組換え体プラスミドを保持する大腸菌が両酵素活性ともに高く、プラスミドの安定性も優れていることを明らかにした。得られた組換え体大腸菌を用いて、水・有機溶媒二相系で反応を行った結果、glucoseの添加のみで(R)体アルコールを短時間に高収率で合成できることを明らかにした。また、ALR(S)の立体選択的還元反応のメカニズムを明らかにするため、ALR(S)の一次構造をNAD(P)H依存性の様々な酵素と比較した結果、補酵素NADPHとの結合に関与するアミノ酸を4残基推定した。これらの残基をターゲットとして部位特異的変異を行い、得られた変異酵素の基質特異性および補酵素特異性を野生型と比較した。その結果、G19とG22がNADPHとの結合に深く関与しており、A25G変異酵素は、NADPHに加えNADHに対しても活性を示すことを見い出した。今後は、酵素の結晶化を行うとともに、立体構造から反応機構の予測を行う予定である。
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