研究概要 |
昨年度,albonoursin生産菌Streptomyces sp.KO2388株がcyclo(Leu-Phe),CFLからalbonoursinへの脱水素酵素系を有すること,その反応が片側のアミノ酸が脱水素された中間体を経て起こることを明らかにした。また,本酵素系を部分精製したところ,CFLから片側脱水素体を経てalbonoursinへの合成を触媒する画分とCFLから片側脱水素体への反応のみを触媒する画分を分離することができたことを報告した。 今年度は,物質生産に本反応を応用することを試みた。17種の環状ジペプチド類について本酵素反応を行い11種の基質から脱水素反応生成物が確認された。これらのうち,イソプレニル化されたdehydro HisとPheからなり,細胞周期阻害活性を示す(-)-phenylahistin((-)-PLH)に注目した。CFLの2種類の片側脱水素体はウニ胚卵割阻害活性を示さず,両側脱水素体であるalbonoursinのみ阻害活性を示す事実から,(-)-PLHの脱水素体は更に高活性を示すことが期待された。本酵素系で(-)-PLHの脱水素反応を行い,生成物を単離し(Z)-dehydrophenylahistin((Z)-ΔPLH)と同定した。同様にcyclo(His-Phe)(CFH)から,(Z,Z)-CΔFΔHと(Z)-CΔFHを得た。ウニ胚卵割阻害活性測定試験を行ったところ,CFHと(Z)-CΔFHは活性を示さなかったのに対し,(Z,Z)-CΔFΔHは(-)-PLHと同程度の,(Z)-ΔPLHはその250倍以上も高い阻害活性を示した。これらの結果から,二重結合とイソプレニル基の存在がウニ胚卵割阻害活性発現に大きく関与していることが分かった。
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