研究概要 |
1,大腸菌のシステイン分解酵素の同定 システイン生産性の更なる向上のため、昨年度造成したシステイン分解低下大腸菌JM39-8株の解析を行った。 (1)大腸菌においてシステイン分解に関与する主な酵素2つを同定し、1つはシスタチオニンβリアーゼ、もう1つはトリプトファナーゼであることを示した。 (2)トリプトファナーゼがシステインによって誘導されることをはじめて明らかにした。 (3)JM39-8株は、トリプトファナーゼの活性が低下した株であることを明らかにした。 (4)トリプトファナーゼ欠損株はJM39-8株と同等程度のシステイン生産性を示した。 以上の結果から、システインの分解にトリプトファナーゼが寄与していると考えられた。 2,メチオニン生産性の改善 アンチセンスDNA法を用いてスレオニン生合成経路のhomoserine kinaseの発現量低下を試みた。Homeserine kinaseをコードする遺伝子ThrBのアンチセンスDNAをもつプラスミドを構築し、昨年度造成したメチオニン生産大腸菌に導入した。その結果メチオニンの生産量は増加しなかったが、生産速度が速くなる傾向が認められた。
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