研究概要 |
セロビオース及びセロデキストリンホスホリラーゼはセロビオース及びセロデキストリンを加リン酸分解してグルコース1リン酸を生成する酵素である.未だ完全な精製例が無いClostridium thermocellumセロビオース及びセロデキストリンホスホリラーゼの精製を行い,それぞれの電気泳動的に均一に分取することに成功した.さらに,セロデキストリンホスホリラーゼ遺伝子をクローニングをし,大腸菌における発現にも成功した.発現量は実にClostridium thermocellumの400倍であった.ついで,本菌のセロビオースホスホリラーゼ遺伝子のクローニングと遺伝子の大腸菌における発現を行ったところ,高発現に成功した.発現量は実にClostridium thermocellumの30倍であった.ついで,両酵素を大腸菌で大量発現させ,精製酵素を得た.これらの酵素とポテトα-グルカンホスホリラーゼを組み合わせ,澱粉からセロオリゴ糖の生産を試みたところ,収率25%以上でオリゴ糖を得た.P-ニトロ-β-グルコピラノシドをアクセプターとしてグルコース1リン酸を用いてグルコースの付加を試みたところ,P-ニトロ-フェニル基を還元末端部分にもつ一連のセロオリゴ糖を得た.また,放射線グルコースをアクセプターとして,グルコース1リン酸を用いてグルコースの付加を試みたところ,還元末端に持つセロオリゴ糖の合成にも成功した.これらは,セルラーゼの酵素反応の解析に極めて有効と考えられる.すなわち,酵素切断部位を明確に知ることができる.
|