1.RuBisCo遺伝子の構造解析(高橋令二が担当):アンモニア酸化菌の基準株Nitrosomonas europaea ATCC25978株および当研究グループによる新規分離アンモニア酸化菌Nitrosomonas sp. TK794株Nitrosovibrio sp.TYM9株、K1株において、既に決定したRuBisCOのサブユニットのN-末端アミノ酸配列およびデータベースより得た既知のRuBisCOから作製した合成ヌクレオチド・プローブを用い、両菌株染色体DNAを鋳型としてPCRによりRuBisCO遺伝子領域を包含する領域の合成・増幅を行った。各株ともLサブユニットをコードするcbbLの5'端および3'端の約50bpを除く領域の塩基配列を決定した。Nitrosovibrio sp. TYM9株についてはSサブユニットをコードするcbbSの大部分についてもその塩基配列を決定した。cbbLの塩基配列決定領域は各株間で非常に保存性が高く、RuBisCOの活性関与部位等を含んだ。また後述の新規株をはじめとして、既に申請者らによって低温、高温、低栄養等の環境から単一菌として純粋分離されている独立栄養性のアンモニア乳化菌、亜硝酸酸化菌のRuBisCO遺伝子の解析を順次進め、ほとんど蓄積のない硫化菌の炭酸固定酵素の遺伝生化学的情報を累加するに至った。 2.硫化細菌の新規株の純粋分離と菌学的諸性質の検討(徳山龍名が担当):当研究グループが既に改良・確立した分離法により、独立栄養性のアルカリ性土壌からの亜硫酸酸化菌、イネ根圏土壌からのアンモニア酸化、亜硫酸酸化菌をほぼ純粋分離するに至った。特に高濃度亜硫酸アンモニウム要求性アンモニア酸化菌K1株はその培養特性等から応用価値の高い有用菌株であることが判明した。
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