研究概要 |
氷核活性細菌,Erwinia uredovora KUIN-3由来の菌体外氷核活性物質(EIM;Extrace11ular Ice-nucleating Matter)の培地中への分泌は,Ice-nucleation培地中の酵母エキスの濃度に比例して増大し,EIMのクラスA,BとCの全ての構造の分泌が活性化された。この分泌量は,ELISA法を用いることによって,氷核形成温度,T_<50>(℃)で示すことができた。この分泌に関与している培地成分について調べたところ,アミノ酸のリシンであることが明らかとなった。リシンの添加によって,EIM中のポリアミン含有量が変化し,それによってEIMの表面電荷が5.2から4.9に変化した。カダベリン添加によっても,表面電荷が変化し,EIMの分泌量が増大した。 これらの結果から,氷核タンパク質(INP;Ice-Nucleating Protein)の凝集体の表面電荷は,INPの移動およびEIMの分泌に重要であることがわかった。この分泌,特にクラスB構造の分泌は,H^+-ATPaseの阻害剤であるN,N'-dicyclohexylcarbodiimide(DCCD)によって著しく阻害され,この分泌にATPが必要であることが明らかとなった。エネルギーが培地中へのEIMの分泌に必要であり,周りのいくつかの化合物を減少させることによって,細胞表面のINPの生産も制御できる可能性を示した。
|