研究概要 |
本研究は新規なフラクトキナーゼの発見を出発点に、酵素の基礎ならびに応用研究を行うもので、本年度の研究成果は以下のとおりである。本酵素の臨床分析への応用:腎機能診断としてイヌリンをマーカーに用いる血液濾過機能診断法が世界的に認知されつつあるが、これまでフラクトースを特異的に測定できる酵素がないため非特異的な化学法で測定されてきた。申請者らの発見した酵素の特徴を生かし、この分野に応用を検討した。イヌリンをイヌラーゼで分解するとフラクトースを生じる、申請者らのフラクトキナーゼとphosphoglucoisomerase、glucose-6-phosphate isomerase共役下にイヌリンを測定する方法を確立した。本法を臨床分析に応用してそのクリアランス試験を行い,良好な試験結果を得た。本測定法の特徴は,グルコースなどの糖が多量含まれるような検体でも正確に測定が出来ることである。また,自動化分析にも対応できる、世界で始めての高精度な分析法であることを明らかにした。臨床的に有用な知見結果が期待される。さらに本酵素を利用した、アミラーゼ測定試薬の開発にも成功した。 本酵素の生産量は低く、工業的に大量の酵素生産は困難である。そこで、本酵素の遺伝子組換による大量生産を目的に、酵素遺伝子の単離を試みた。次年度は、その塩基配列の決定,大量発現系の構築を計画している。
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