研究概要 |
本年度はチャ葉中で強い活性を示すβ-グルコシダーゼおよびβ-プリメベロシダーゼの精製用アフィニティークロマト用担体の調製を目指し,p-Aminophenyl 1-thio-β-glycosideをリガンドに用い,市販のFormyl-Cellulofineに結合させる方法を検討した。 1.p-Aminophenyl 1-thio-β-D-glucopyranoside(pAP-S-Glc:4)の合成 既報の方法に従ってp-Nitrophenyl 1-thio-β-D-glucopyranoside(pNP-S-Glc:3)を合成し、水素添加により還元し,モデルリガントとなるpNP-S-Glc(4)を得た(収率22%)。 2.p-Aminophenyl 1-thio-β-D-primeveroside(pNP-S-Pri:13)の合成 pNP-S-Glc(3)の6'位のOH基をtrityl化後,残りの水酸基をbenzoyl化後,脱trityl化し,pNP2,3,4-tri-O-benzoyl-1-thio-β-D-glucopyranoside(7)を得た(3からの収率33%)。次に、既知の方法で合成した2,3,4-tri-O-benzoyl-D-xylopyranosyl α-bromide(10)と縮合させ,pNP2,3,4-tri-6-O-(2,3,4-tri-O-benzoyl-β-D-xylopyranosyl)-1-thio-β-D-glucopyranoside(11)を得,脱保護の後,接触還元し,p-AP-S-β-Pri(13)を得た(7からの収率約17%)。 3.アフィニティークロマト用担体の調製 こうして得たリガンドをそれぞれ市販のFormyl-Cellulofineに結合させた。これをチャ葉から調製した粗酵素と処理し,目的とするグリゴシダーゼの選択的吸着を調べた。いずれの調製担体もβ-グルコシダーゼおよびβ-プリメベロシダーゼともに吸着したが,選択的吸着は観察されなかった。しかしながら,β-プリメベロシダーゼ用の調製担体にはキシロダーゼが選択吸着性を示し,この担体はキシロダーゼの精製に用いることができる可能性が示された。 次に,グルコースなどの各種単糖および酵素合成により得たプリメベロースのアミノ糖を合成し,カルボキシル基を有するCarboxy-cellulofineへの結合を試みている。
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