研究課題/領域番号 |
09660113
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
生物生産化学・応用有機化学
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
渡辺 修治 静岡大学, 農学部, 教授 (90230979)
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研究分担者 |
岡本 研 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (20160715)
日野 明徳 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (90012012)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1999
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キーワード | 太陽虫 / ワムシ / カンザシゴカイ / クロロフィル / 光増感作用 |
研究概要 |
海産無脊椎動物の突然死、変態に関わる海洋性原生動物:太陽虫起源のケミカルシグナルを解明する目的で本研究に着手した。太陽虫メタノール抽出物が付着生物であるカンザシゴカイ幼生の変態誘導活性、ワムシに対する致死作用を有することを見出し、物質的レベルでの解明研究を展開した。カンザシゴカイの変態誘導物質はカンザシゴカイ棲管から別途単離構造決定した。これらは新規DHAモノグリセリドを初めとする高度不飽和脂肪酸のグリセリドであった。また飽和脂肪酸誘導体の活性は極めて低いことも明らかとした。メタノール抽出物の一画分が光照射条件下でのみ変態誘導活性、致死作用の両活性を示すことからこれらをワムシおよびブラインシュリンプに対する致死作用を指標として精製したところ、活性画分にはクロロフィル関連化合物およびカロテノイド関連化合物が主として含まれていることを明らかとすることができた。クロロフィル誘導体であるフェオフォルバイドbは光照射下で致死作用を示したが、カロテノイド誘導体であるゼアキサンチンは致死作用を示さなかった。精製画分は光照射下でのみ強い活性を示すことからフェオフォルバイド関連化合物などのような光増感作用を示す物質であることが強く示唆された。光照射によって容易に分解するなど化学的に極めて不安定なため単離、構造決定に至らなかったが海産無脊椎動物間の新たなケミカルシグナルの存在を化学的に明らかにし得た点において本研究は重要な知見を与えたものといえる。フェオフォルバイド誘導体は太陽虫によって生合成されたものではなく、餌として取り込んだ微細藻類由来の物質であると考えられる。
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