研究概要 |
研究1年目において,イネの葉身屈曲試験法(ラミナジョイント法)を用いて,ブラシノステロイド類の活性を定量的に評価する系を確立し,ブラシノライド,カスタステロン,エピブラシノライド,ホモブラシノライドの活性を定量的に求めた。その際,被検化合物は50%エタノールに溶解した原溶液の一部をエタノールによる影響が見られない濃度(0.5%)まで緩衝液で希釈し,更に低濃度の試験区の調製は,緩衝液で希釈した最大濃度の試験溶液を緩衝液で希釈し,順次低濃度の被検溶液を作成するという。本年度は,溶媒による影響についてもう少し検討した結果,各種薬剤の原溶液としては,エタノールよりもジメチルスルホキシド(DMSO)溶液の方が好ましいことが明らかになった。.すなわち,ブラシノライドのDMSO溶液を原溶液とした場合には,エタノール溶液を用いた場合に比べて,活性が30倍程度上昇することがわかった。この原因として,最初の緩衝液による希釈において化合物が緩衝液で結晶化し,目的の濃度に達していなかった可能性が考えられる.化合物の疎水性が高く,水に対する溶解度が低い化合物に関しては,原溶液としてDMSO溶液を用いた方が良いと考えられる.カスタステロン,エピブラシノライドについてもそれぞれのDMSO溶液を作成し,活性を求めたところエタノールを溶媒とした場合に比べて,活性に上昇が見られた。動物ホルモンにおけるエストラジオールとジエチルスチルベストロールの関係,昆虫ホルモンにおけるエクダイソンとジベンゾイルヒドラジンとの関係を参考にし,2つのベンゼン環を酸素および炭素2原子で架橋した構造を有する化合物,さらにはヘテロ環を有するオキシム系化合物について活性を測定したが,ブラシノステロイド様ホルモン活性は認められなかった。
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