Penicillium simplicissimum ATCC 90288株をオカラで培養すると生産される殺虫性物質okaramine類は特異な構造を有する新規インドールアルカロイドである。非常に珍しいokaramine類の構造に興味を持ち、その生合成経路の解明を目的に研究を進めている。その過程でオカラおよび大豆のメタノール抽出物中にokaramine生合成促進因子(大豆因子)の存在することを見いだした。 まず生合成されるokaramineのHPLCによる定量法を確立した。次に生合成促進活性検定法の検討を行なった。その結果、12.5mgのオカラ抽出物を加えた25mlのツアベック培地でATCC90288株を25℃、14日間培養後、合成されたokaramine AおよびBを定量することにより促進活性を検定することが可能となった。 この方法を用いて大豆因子の精製を行なった。予備実験の結果から、大豆因子が水溶性物質であることが推定されたのでオカラ抽出物を陰イオン交換カラムクロマトグラフィーで分画したところ、0.06Nおよび0.08N HCl溶出画分に促進活性が認められた。0.06N HC1溶出画分をさらに精製し、活性物質としてuridineとphenylalanineを単離・同定した。一方、0.08N HCl溶出画分を陽イオン交換カラムクロマトグラフィーで分画し、二つの活性画分(画分Iおよび画分II)を得た。興味あることに画分Iおよび画分IIはそれぞれokaramine AおよびBの合成を顕著に促進した。
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