研究概要 |
N-アセチルアロサミンの簡便合成法の開発 N-アセチルアロサミン(1)は、アロサミジン(2)の構成成分である。著者らは、酵素法と化学法を組み合わせた短工程合成を行った。 トリアセチルグルカ-ル(3)から出発しフェリエ反応によって得たジオール(4)に対し、位置選択的にアセチル基を導入する、脂肪分解酵素(リパーゼ)を種々検討した。その結果、天野製薬のリパーゼPSを、酢酸ビニル中作用させることによって、高収率で目的物5を得ることが可能となった。この反応は、いくつかの類縁体に対しても同様に有効であった。 5より誘導したトリクロロアセトイミダ-ト(6)の〔3,3〕-シグマトロピー転位反応に関して、従来、1位がα配向の類似化合物においては、立体障害のため起こりにくいと報告されてきたが、ジフェニルエーテル中、210℃という高温にて、目的とする転位体(7)を得ることができた。210℃まで、一挙に反応温度を上げ、短時間で反応を停止すること、系内の水分を徹底的に除去することが必須であった。 7に対するジヒドロキシル化反応によって、目的とするアロ型誘導体(8)をガラクト型誘導体(9)に対し、11:1の比で得ることができた。主生成物(8)を脱保護し、N-アセチルアロサミン(1)へと導いた。
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