研究課題/領域番号 |
09660121
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 理化学研究所 |
研究代表者 |
浅見 忠男 理化学研究所, 植物機能研究室, 先任研究員 (90231901)
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研究分担者 |
中野 雄司 理化学研究所, 植物機能研究室, 研究員 (30281653)
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キーワード | アブシジン酸 / ジベレリン / 植物ホルモン / アリューロン細胞 / 蛍光標識 / 受容体 / シグナル伝達 / cGMP |
研究概要 |
大麦アリューロン細胞を用いて、植物ホルモンの受容体の解析と植物ホルモンの作用に阻害的に作用する化合物の合成及びその作用部位についての解析を、セルソーターを用いた植物ホルモン受容体解析手法を用いて行った。まず、植物ホルモンの受容体解析を目標としたピオチン標識化アブシジン酸の合成を4'位にスペーサーを導入することにより行った。この化合物はジベレリンにより誘導されるα-アミラーゼ合成の阻害活性及びアブシジン酸により誘導されるデヒドリンの誘導活性を示すというアブシジン酸と同様の活性を有していたことより、アブシジン酸受容体に作用していることが示唆された。続いてこのビオチン標識アブシジン酸とアリューロン細胞プロトプラストとの相互作用を、蛍光標識アビジンのビオチンへの親和性を利用して、フローサイトメーターを用いて解析した。その結果、アブシジン酸受容体が細胞膜上にあることを示すことができた。またこの解析法を用いることにより、ビオチン標識アブシジン酸結合部位(アブシジン酸受容体)に拮抗的に作用している可能性のある化合物を見出すことができた。また蛍光標識アブシジン酸・ジベレリンを、アブシジン酸やジベレリンのモデル化合物として用いて、細胞内での局在について検討したところ、液胞へと輸送されることが明らかとなった。また単離した液胞を用いて検討したところ、液胞内への取り込みにはATPが必要であることから、いわゆるABCトランスポーターにより液胞内へと輸送される可能性が示された。一方、アブシジン酸様阻害物質中、作用部位が明らかでないパイロン類縁体について(既に抗菌活性物質として既知)、そのアリューロン細胞での作用部位について検討した結果、この化合物はアリューロン細胞におけるジベレリンの受容とcGMPの蓄積の間の反応を阻害することによりα-アミラーゼ誘導阻害活性を示していることを明らかにした。
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