昨年に引き続きナスの主要アジトシアニン色素ナスニンが示す生体酸化防御能について、また、アツミカブ(赤カブの一種)およびブルーベリーから分離したそれぞれの粗アントシアニンが示す生体酸化防御機能についてパラコート酸化ストレス負荷ラットを用いて検討した。 ナスニンは特に強い生体酸化防御機能を示し、パラコート投与に伴う飼料摂取量、体重増加量、動脈硬化指数、肝臓トリアシルグリセロール濃度、および肝臓ミトコンドリア画分カタラーゼ活性のいずれの低下をも有意に抑制し、また、パラコートによる肺重量の増加、NADPH-シトクローム-P450 レダクターゼ活性の上昇を有意に抑制した。これらの結果から、ナスニンが生体酸化の亢進に防御的に働くことが初めて明らかにされた。一方、アツミカブアントシアン、およびブルーベリアントシアニンもパラコートによる飼料摂取量、体重増加量、および肝臓ミトコンドリア画分カタラーゼ活性のいづれの低下、また肺重量の増加を抑制する傾向にあり、生体酸化に防御的に作用することが明らかにされたが、その効果はナスニンに比べて弱いものであった。ナスニンはアツミカブ、あるいはブルーベリーに含まれる主要な数種のアントシアニンに比べてin vitroにおけるスーパーオキシドアニオンなどのラジカル消去活性が強いことから、生体酸化防御機能の一部がそれらの生体内におけるラジカル消去活性によることが推察された。一方、いづれのアントシアニンもパラコートによるNADPH-シトクローム-P450レダクターゼ活性の上昇を抑制することから、アントシアニンによる本酵素の活性阻害が活性酸素種の過剰産生を阻害して生体酸化に防御的に作用していることも推察された。
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