希薄BSA溶液から調製した加熱凝集体のフラクタル次元D_fの値を静的光散乱法によって算出した。NaCl添加系については、フラクタル構造が観測された。D_fの値は、加熱時間ないしはイオン強度が大きい程、大きくなった。そのD_f値は、cluster-cluster凝集モデルによる予測値(1.8ないしは2.1)より大きくなったが、これはNaCl添加により凝集過程中における凝集体の再構成が促進されるためと考えられた。一方、CaCl_2添加系ではフラクタル構造が観測されなかった。 食品の高分子電解質の典型例としてκ-カラギーナンを選定し、ゾル-ゲル転移点近傍での誘電特性について検討を行った。解析は、高分子電解質に束縛される対イオンの揺らぎに基づく1MHz周辺の誘電緩和について行った。無秩序(コイル)状態にあるκ-カラギーナン溶液については、緩和強度Δεおよび緩和時間τの濃度依存性は、Δε∝C^0、τ∝C^<-1>となり、高分子電解質溶液の理論から導かれる準希薄溶液についてのスケーリング則と一致した。秩序(ヘリックス)状態にあるκ-カラギーナンの分散系については、Δεおよびτはの値は、準希薄溶液についてのスケーリング則による予測値より大きな値となった。このヘリックス状態にある試料における実測値と計算値との不一致は、ゲル中のへリックスの会合の結果として説明された。
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