研究課題/領域番号 |
09660139
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
横田 一成 島根大学, 生物資源科学部, 教授 (90158361)
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研究分担者 |
地阪 光生 島根大学, 生物資源科学部, 助教授 (60243424)
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キーワード | アラキドン酸カスケード / 不飽和化反応 / 必須脂肪酸 / アラキドン酸 / エイコサペンタエン酸 / プロスタグランジン / プロスタノイド / シクロオキシゲナーゼ |
研究概要 |
哺乳動物の必須脂肪酸代謝とアラキドン酸カスケード反応の調節機構について、動物培養細胞株のMadin-Darbyイヌ腎臓(MDCK)細胞株を用いて研究を行った。放射標識のパルミチン酸、あるいは、リノール酸からの不飽和化反応の変換産物を測定することによって、それぞれ、Δ9とΔ6不飽和化酵素活性を測定した。系列の異なるn-6及びn-3系列の必須脂肪酸により培養細胞の膜リン脂質を修飾して、不飽和化酵素活性の変動を調べた。その結果、n-6及びn-3系列の必須脂肪酸のうち、アラキドン酸やエイコサペンタエン酸のような炭素数20のエイコサポリエン酸であらかじめ細胞膜を修飾しておくと、Δ9よりもΔ6の不飽和化酵素で、より強いフィードバック阻害作用が認められた。この実験系は、細胞応答によるアラキドン酸カスケードの調節に関連した必須脂肪酸の複数の不飽和化酵素の変動を標的として、細胞内で相互作用する食品機能因子の検索研究に有用と考えられた。 さらに、本細胞株の主要なアラキドン酸代謝産物であるプロスタグランジン(PG)E関連物質のうち、ジホモ-γ-リノレン酸由来のPGE_1とアラキドン酸由来のPGE_2を特異的に認識するモノクローン抗体の作成を試みた。その結果、今回、選抜されたPGE_1に対するモノクローン抗体は、PGE_2やPGE_3とは、5%以下しか反応しない特異性を示した。さらなるクローンの解析で、異なるシリーズのプロスタノイドにより特異的に反応するものの取得が可能であろう。平行して、また、PG類の生合成の律速酵素のシクロオキシゲナーゼの2つのアイソフォーム遺伝子の転写物の特異的定量のため、逆転写-ポリメラーゼ連鎖反応を用いた研究法を確立している。現在、MDCK細胞を用いてアラキドン酸カスケード反応の細胞応答や栄養制御機構の研究を進行している。
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