研究概要 |
グルコースのみの系(G系)およびリゾチーム-グルコース系(LG系)を生理的条件下でキレート剤であるDETAPACの無添加および添加した溶液を50°C、7日間インキュベートしたとこい生成する2-オキソアルデヒドをbenzo-[g]-quinoline誘導体としてHPLC分析に供した。LG系ではグルコソン(GLCO)、3-デオキシグルコソン(3DG)、グリオキサール(GO)、メチルグリオキサール(MG)のジカルボニル化合物が検出された。この系に、DETAPACを添加した系ではGLCOの生成は認められず、GO,MG共にその生成が減少した。GLCOはG系で0.01mM生成したが、キレート剤添加により生成は認められなかった。また、LG系ではGLCO生成がG系に比較して約50%減少した。一方、3DGはG系よりもLG系で顕著に生成した。さらにキレート剤添加によってやや増加傾向を示した。GOはG系でのみ顕著に生成し、他の系では生成は抑制された。キレート剤添加によっても顕著に減少した。MGはその生成量は低かったが、G, GD, LG, LGD系において生成し,キレート剤添加によって減少傾向を示した。以上の結果より3DGの生成には酸素が必要でないことが明らかとなった。3DGはアルギニン残基を修飾し、メイラード反応後期段階生成物の反応種となる。そこで、3DGとN "-benzoylarginine amide (BzArgNH2)を生理的条件下で反応させS11を単離し、2-(N "-benzoyl-N" -ornithylamide)-5,6a-di (2, 3, 4-trihydroxybutyl)-5, 6-dihydroxydehydrofuro [2, 3-d] imidazoleと同定した。S11は3DG2分子とBzArgNH2 1分子からなる新規化合物であった。
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