木製品の認証制度の現状と問題点を明らかにするために、本年度は近年の世界の木材貿易の動向と認証制度に対する取り組みを中心に分析した。 第一に、FAOの林産物統計を活用して、1980年代後半以降の木材・木製品の世界の貿易動向を分析し、木材貿易のグローバル化の現状を把握した。第二に、アメリカ、カナダ、北欧の木材関連大企業の動向を各社のannual reportをもとに、木材貿易のグローバル化と環境問題に対する各国の木材産業の取り組み方の特徴を分析した。第三に、木材貿易と環境問題の両立可能性を調べるため、ニュージーランドの現地調査を行った。第四に、我が国の先進事例を調査し、我が国における木材産業の対応と問題点を調べた。 以上の分析の結果、木材貿易のグローバル化と地球環境問題に対する関心の高まりを背景に、世界中の木材産業をめぐる構図が急速に変化していることが明らかとなった。その結果、認証制度に対する取り組み方も、各国別で大きく異なり、認証制度を新たなビジネス・チャンスとして導入に積極的な企業も見られた反面、導入に消極的な企業も存在した。この原因としては、認証制度が制度的にまだ浸透していないこと、技術的に困難な課題が残されていること、および認証制度が導入されても「環境にやさしい木材」が本当に売れるかどうかは、現段階では不明なこと、などが考えられた。 そこで、次年度は以上の結果をもとに、認証制度を実施する上での制度上の問題点を分析するとともに、認証制度を導入したときの木材消費者の意識を調査し、認証制度の実現可能性を検討する。
|