研究概要 |
1 FAOの林産物統計によると、1990年代に入って産業用材の生産量は減少と停滞を続けている。その直接の原因は旧ソ連邦の崩壊による産業用材の生産量の急減である。他方でカナダ、フィンランド、ニュージーランドでは生産量を増やしていることが注目される。 2 輸出率をみると、産業用材の輸出率は6-8%と停滞的であるが,製材と合板の輸出率はこの間に高まっている。 3 木材認証制度は1980年代に注目を浴びた熱帯林問題と関わっている。具体的には1988年にイギリスの環境グループが熱帯林材の貿易のあり方に関わって、国際的なラベリング制度の創設を求めたことに始まる。ITTOで様々議論したものの、進展が見られなかったので、自然保護団体を中心にして、FSCが1993年に創設された。これ以降、認証制度はFSCを中心に展開している。FSCの活動への反応としてでてきたのが、ISOの下での認証制度であり、もう一つは個別の国における認証制度の創設である。 4 東京都民100人を対象にして住宅に関する意識調査をおこなった。その結果,木造住宅に対する要求は耐震設計、バリアフリー、省エネ住宅、健康住宅など多様化していることが明らかになった。 5 さらにコンジョイント分析を使って、木材認証制度の導入可能性を分析した。その結果、環境ラベリングに対する支払い意思額は環境ラベリング材の使用比率1%当り25%であり、環境ラベリング材に対する関心が極めて高いことが明らかになった。
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