今年度は東京大学北海道演習林をフィールドとして利用した。林内に測位点を設け、各点において魚眼レンズを装着した高性能ディジタルカメラおよび通常のフィルムカメラにより天空を撮影し、また1時間以上の測位を行いGPS衛星信号を受信・記録した。ディジタル全天写真は画像解析手法により構成要素に分類し、各GPS衛星の軌道要素から算出した天空における衛星軌跡を使って、測位期間中1秒ごとの衛星位置と構成要素を対応させた。記録したGBS信号からは、同様に1秒ごとに各衛星の信号強度情報を抽出し、上で作成した構成要素と時間をキ-として対応付けを行った。その結果、おおよそ空>葉>枝>幹>地面の順に信号強度が小さくなることがわかったが、完全に対応しているわけではなかった。この原因には、天空写真が完全に鉛直方向を撮影していなかった可能性と、磁北と真北の偏差が不正確であったことが考えられる。また、撮影時に快晴または太陽が見えている条件では、天空写真中に太陽を中心とした輝点ができてしまい不完全な写真しか撮れないために、画像解析における構成要素分類も信頼の置けないものとなる。こういった条件下での天空情報の取得にも配慮が必要なことがわかった。 磁北偏差については、GPS測位とディジタルコンパス測位を組み合わせ、偏差を直接測定する方法を開発中である。ただし、それぞれの測位精度がそれほど高いものではないため、測定回数を多くするなどして信頼度を高める必要性があることを現在確認している。
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