フィールドとして、昨年度に引き続き東京大学北海道演習林を、また新たに同千葉演習林を利用した。昨年度と同様の手法で、測位期間中10秒ごとの全天画像構成要素とGPS信号強度を対応させた。空、葉、幹、地面などの要素は、GPS信号の透過しやすさを考慮して開空度(openness)に読み替え、GPS信号強度との関連を検討した。その結果、信号強度はおおよそ設定した開空度に対応していることがわかったが、信号の強弱や中断を完全に説明するわけにはいかなかった。この原因には、昨年同様の理由で、天空写真と衛星軌道が完全にマッチしていない可能性が考えられる。しかし、実際に現地で全天写真を撮影する揚合には、当然この程度の誤差は含まれる。そこで、ユーザが開空度の下限や時間間隔を指定し、その条件で受信可能な衛星個数を検索することのできるプログラムを作成した。これにより、その地点でのGPS信号受信可能性を判断することができるようになった。現在このシステムは、市販の画像解析ソフトや表計算ソフトなどの機能を組み合わせて実現しているため、ひとつのソフト上で行うよりも手順が複雑で、自動化には至っていない。今後の検討課題としては、この研究で構築したアルゴリズムを、スタンドアロンシステムとしてソフトウェア化することが必要である。
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